自動車コラム
スタッドレスタイヤの選び方は?SUVに合うタイヤの選び方を解説
スタッドレスの買い替え時期っていつ?
目次
雪が積もった冬の道には欠かせないスタッドレスタイヤ。
しかし、「そういう決まりだから」と交換しているものの、スタッドレスタイヤに履き替えたことで得られる効果や、車体に適した選び方を詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
特にSUVは、サマータイヤでもスノー対応しているタイヤが多く、わざわざスタッドレスタイヤにするメリットがわからないと感じる方もいるでしょう。
そこで今回は、スタッドレスタイヤの効果や、SUVに合うスタッドレスタイヤの選び方、そしてタイヤの交換時期や長持ちさせるメンテナンスと保管の方法まで、詳しく解説していきます。
スタッドレスタイヤの効果
雪道や凍結した道で安全な走行ができるスタッドレスタイヤは、都道府県の法令で装着が定められています。
シャーベット状の雪や氷の上でも滑りにくく、しっかりと路面を掴んでブレーキの働きを地面に伝えるように
設計されているスタッドレスタイヤは、材質やトレッドパターンに、サマータイヤとは異なる特徴があります。
・ノーマルタイヤで雪道を走行するのは法令違反!
ノーマルタイヤで雪道を走るのは、法令違反になるということをご存じでしょうか。
圧雪路や凍結路の走行時には、各都道府県の公安委員会が定めたルールに従い、適切な滑り止めの措置を取る必要(道路交通法第71条第6号など)があります。
自治体によって積雪の状況が異なるため、都道府県道路交通法施行細則または道路交通規則で、その地域に適した滑り止めのルールが定められています。
もし適切な滑り止めを行わず、法令に違反すると、以下の反則金が課せられます。
大型自動車等:7,000円 普通自動車・自動二輪:6,000円 原動機付自転車:5,000円
※沖縄県は適用外
(参考:タイヤ公正取引協議会|冬のタイヤの滑り止めルールって?)
・スタッドレスタイヤで走れる道は?
スタッドレスタイヤは圧雪路や凍結路など、濡れた路面を走行するために設計されており、
チェーン規制がかかっていない冬場の乾燥路面や、積雪のある道、凍結している道に最適です。
しかし、乾燥した路面や雨で濡れた路面では、サマータイヤよりも制動距離が長くなったり、滑りやすくなったりします。
・スタッドレスタイヤでもチェーン規制区間はチェーン装着必須
「チェーン規制」は、大雪により身動きが取れなくなる立ち往生車が多発する危険性が高まった時に出される緊急措置です。
チェーン規制が発令された場合は、スタッドレスタイヤの装着の有無と関係なく、全車両にチェーンを装着しなければなりません。
チェーンを装着することで、分厚い積雪のある道や、急な上り下りがある峠などの山道を走行できます。
また、雪道に強いスタッドレスタイヤでも、走破が難しい積雪によって立ち往生してしまうケースがあります。
スタッドレスタイヤを過信せず、冬場はチェーンを積み込んでおきましょう。
(参考:国土交通省|チェーン規制について)
・雪道のノーマルタイヤの制動距離は、スタッドレスタイヤのなんと1.7倍!
ノーマルタイヤは乾いた路面や雨に濡れた路面を安全に走るために設計されています。
そのため、圧雪路や氷盤路では、路面上にできた薄い水の膜を除去したり、シャーベット状になった氷をうまく掻き出したり
することができず、ブレーキを踏んだ時の制動距離が長くなってしまいます。
JAFの調査では、スタッドレスタイヤと比較すると、ノーマルタイヤは制動距離が約1.7倍も伸びるという結果が出ました。
衝突被害軽減ブレーキを搭載している車でも、ノーマルタイヤでは停止できません。実験では障害物を検知してブレーキが
動作しても、衝突までに停止できず、事故を避けられないことがわかっています。
路面状況によって制動距離が変化するため、ノーマルタイヤと比較するとスタッドレスタイヤの安全性が高いことは
実験結果からも明らかです。
(参考:JAF|雪道のノーマルタイヤ、制動距離はスタッドレスの約1.7倍!衝突被害軽減ブレーキが作動しても止まれない!?)
SUVに合うスタッドレスタイヤの選び方
SUVは雪道や舗装されていない道路の走破性などで人気がありますが、車体が重く、
タイヤに負荷がかかる特徴があるため、SUV専用のタイヤが発売されています。
SUVで安全に冬道を走るためには、専用のスタッドレスタイヤを選ぶ必要があります。
・注目したい7つの性能
- 1)氷上・雪上性能:圧雪路や氷盤路でのブレーキ性能
- 2)ドライ性能:乾いた路面での走行性能
- 3)ウェット性能:雨などで濡れた路面での走行性能
- 4)ハンドリング性能:ハンドルをきった時のレスポンスの良さ
- 5)快適性・静粛性:車体の揺れが少ない、タイヤの音が静かなど
- 6)低燃費性能:燃費の良さ
- 7)耐摩耗性:タイヤの減りにくさ、寿命
冬道を走行するためのスタッドレスタイヤは、特に氷上・雪上性能が大切です。
また、乾燥路面を走る場合は、ドライ・ウェット性能にも注目しましょう。
ドライ・ウェット性能が高いタイヤは、通常の路面でも快適に走れます。
・SUV専用のタイヤを選ぶ
SUVはアウトドアシーンでの利用が多く、重い車体で積雪の中や悪路を走行することを
想定して、専用のスタッドレスタイヤが設計・発売されています。
具体的には、走破性を高めるためにタイヤのパターンに刻まれている溝がより深くなり、
剛性の強いブロックパターンと、通常のスタッドレスよりも硬いゴムを採用しています。
そのため、車体重量が大きいSUVでも、雪上で安定感のある走行ができます。
・タイヤサイズを確認しておこう
メーカーや銘柄を決める前に、車のタイヤサイズを確認しましょう。
SUVに分類されていても、車種によってタイヤサイズは大きく異なります。
タイヤサイズは、タイヤの側面や、運転席側ドアの内側に、以下のように書かれています。
「265/65R17 112Q」
(タイヤ幅/扁平率・タイヤ構造・リム径 ロードインデックス・速度記号)
自分の車に合うタイヤサイズを把握した上で、銘柄を絞り込むのがおすすめです。
・駆動方式にあわせてまとめて買って、まとめて交換
2WDの場合は前輪同士、後輪同士の2本ずつ交換が可能です。
4WDの場合は、4輪すべてをまとめて交換する必要があります。
これは摩耗の状態が異なるタイヤが混在することで、バランスが悪くなったり、偏摩耗が発生するのを避けるためです。
原則として、タイヤ交換はまとめて買って、まとめて交換がおすすめです。
また、タイヤを長持ちさせるためには適度なローテーションも必要です。
スタッドレス装着時のSUVの雪道の走行性能
SUV専用スタッドレスタイヤは、ほかの乗用車向けのスタッドレスタイヤと比較すると、
パターンの溝が深く、積雪が深い場所や凍結した道路でもぐいぐいと快適に走れるのが特徴です。
重い車体を支えるためにブロックパターンの剛性が高められているため、
サマータイヤよりも柔らかなゴムが使われるスタッドレスタイヤでも、ふらつかずに安定した走行ができます。
SUV専用タイヤには、冬用タイヤの装着が必要になる滑り止め装置装着規制がかかっても走行できる、「マッド&スノー」
タイヤがあります。
サイドウォールに「M+S」もしくは「M.S」や「M/S」と書かれているタイヤで、
スタッドレスタイヤに履き替えなくても冬用タイヤとして走行することが許されています。
しかし、0度以下の気温で発生するアイスバーンなど、滑りやすい路面での走行性能は劣ります。
雪が降り始めた路面で走行できても、雪が深くなれば急激に滑りやすくなったり、立ち往生してしまったりすることもあるのです。
雪道を走る機会が多くなる場合は、快適で安全な運転のために、スタッドレスタイヤに履き替えた方が良いでしょう。
スタッドレスタイヤの交換(購入)時期
交換時期は地域によって異なりますが、基本的に雪が降り始める1カ月前にはスタッドレスタイヤに交換し、
雪が降り終わった1カ月後にサマータイヤに戻すのがおすすめです。
・スタッドレスタイヤの交換(購入)は10月上旬に!
積雪が多い地域では、11月上旬に初雪が降ります。
雪が降る前でも、気温の低下で濡れた路面が凍結し始めるため、初雪が降る1カ月前である10月上旬にはスタッドレスタイヤに交換するのがおすすめです。
なぜなら、11月が近付くと初雪の予報がより正確になるため「雪が降り始める前にタイヤを交換しよう」という人が増え、
店舗が混みあうようになるためです。
特に降雪が予想される週の土日は予約が取れないほど混雑することも珍しくありません。
需要があるサイズや人気があるメーカーは、混みあう時期には品切れになってしまうこともあります。
一方、10月上旬から中旬であれば、多くの店舗で予約が取りやすく、タイヤ交換の待ち時間も短く済みます。
早めにタイヤ交換をしておけば、急に天候が崩れて降雪が早まった場合でも、
「スタッドレスタイヤに交換していなかったから運転ができない!」という事態には陥りません。
もしタイヤを交換する前に積雪してしまった場合は、サマータイヤにタイヤチェーンをすれば、法令違反にならず雪道を走行できます。
・サマータイヤへの交換は3月中旬からゴールデンウィークまでに
生活している地域によって雪の状態が異なるため、各地域の天候を見ながらタイヤ交換の時期を決める必要があります。
おおむね降雪が終わる3月中旬から、気温が上昇して山間部でも残雪が消えるゴールデンウィークには、
サマータイヤに交換するのがおすすめです。
しかしゴールデンウィーク前には駆け込みの依頼が増え、長時間待つケースも珍しくありません。
天気予報に注意しながら、余裕を持って早めに交換しましょう。
・スタッドレスタイヤは9月には発売が始まってる!?
スタッドレスタイヤというと秋頃から売り出されるイメージがあるかもしれませんが、
実は新しいスタッドレスタイヤは前年の冬に開発されています。
新しく開発されたスタッドレスタイヤは、翌年の春から夏にかけて
新作タイヤとして発表され、9月頃には販売が始まります。
もし新しいスタッドレスタイヤに買い替えを検討している場合は、
8月~9月に「新しいタイヤの購入をしたい」と相談しておくと、入荷や交換がスムーズになるでしょう。
夏にスタッドレスタイヤを履くとどうなる?
スリップサインが出たタイヤ交換をせず、そのままサマータイヤの
代わりとして使ってから交換しようと考える方もいるでしょう。
しかし、冬の積雪がある路面で効果を発揮するために設計されているスタッドレスタイヤは、
夏の乾燥路面では十分な走行性能を発揮できず、サマータイヤの代わりにはなりません。
夏場の乾燥路面では、タイヤの摩耗が早くなるだけでなく、
ドライ性能もウェット性能もサマータイヤより劣り、ハンドリングやブレーキの性能も下がるため、安全な運転が難しくなります。
具体的にどのような問題が発生するのか見てみましょう。
・夏場にスタッドレスタイヤを使うとブレーキ性能が落ちる
スタッドレスタイヤは、サマータイヤよりも乾燥路面でのグリップ力が弱く、ドライ性能が低いため、制動距離が伸びてしまいます。
また、スタッドレスタイヤは地面が濡れて水たまりがあるような雨天の路面も得意ではありません。
ブレーキを踏んでも止まれず、衝突してしまったという事故は後を絶ちません。
積雪や凍結のある路面に強いなら、濡れている路面にも強いと思われがちですが、実は大きな誤解があります。
スタッドレスタイヤは凍結した路面の上にできた薄い水の膜を取り除き、凍った路面との密着度を上げることで
タイヤの接地面積を確保して、氷結面を引っ掻くような走行ができるようにしたタイヤです。
しかし、細かなパターンとサイプが毛細管現象によって路面の水膜を吸い上げたり、凍った地面を引っ掻く構造に
なっているスタッドレスタイヤは、路面に大量にある水を取り除くのには適していません。
サマータイヤのように大きなブロックで水を弾き飛ばせず、水がタイヤの細かな溝に入り込んで溜まってしまうため、
ハイドロプレーニング現象が発生しやすくなります。
結果として、スタッドレスタイヤを夏まで履きっぱなしにすると、いざという時に停止できず危険です。
・スタッドレスタイヤは柔らかいので摩耗が早くなる
スタッドレスタイヤは雪道でしっかり止まるために、ノーマルタイヤよりも細かなパターンと
深いサイプが刻まれた、低温でも柔らかさを失わない特殊なゴムが使われています。
例えるなら、スタッドレスタイヤのトレッド面は、薄切りの柔らかい消しゴムを束ねたような構造です。
また、気温が低い冬の路面で使用することを想定して設計されているので、
夏の熱い路面を走行すると、トレッド面の摩耗が早くなってしまいます。
スタッドレスタイヤのメンテナンスと保管方法
雪のシーズンが終わり、取り外したスタッドレスタイヤは、適切にメンテナンスと
保管を行えば、劣化を防いで長持ちさせることができます。
・スタッドレスタイヤは柔らかいので摩耗が早くなる
スタッドレスタイヤが活躍する氷雪路面には、融雪剤として塩化カルシウムや塩化ナトリウム、
塩化マグネシウムなどが使用されています。
シーズンオフに取り外したスタッドレスタイヤには、走行時に跳ね上げた融雪剤がこびりついているので、
必ず洗浄してから保管します。
融雪剤は潮解性があります。そのため、乾いている時はさらっとして気付きませんが、湿度が高くなるとべたべたする
性質を持っています。このべっとりとした融雪剤がタイヤのホイールにこびりつき、サビを発生させ、劣化を加速させてしまいます。
念入りに洗浄しようとして洗剤を使用したり、保護しようとワックスを使用したりする
ケースがありますが、どちらもスタッドレスタイヤの寿命を縮めてしまいます。
タイヤのゴムには柔らかさと品質を保つために特殊なオイルが配合されており、洗剤を使用することで
オイルが流されてしまったり、ワックスが染み込んでオイルが変質してしまったりするためです。
スタッドレスタイヤを洗浄する際は、洗剤やワックスを使わず、水をかけてしっかりと洗い流しましょう。
(参考:チューリッヒ保険会社|融雪剤とは。成分(塩)や効果、撒くタイミング。車を錆びさせないには洗車が必要?)
・トレッド面に食い込んだ小石を除去する
スタッドレスタイヤは、路面の水分を効率良く吸い上げて掻き出し、
接地面積を確保するため、細かく深い「サイプ」と呼ばれる溝があります。
スタッドレスタイヤのサイプは、小さな石や異物が挟まってしまいやすい部分です。
タイヤ全体を見て、マイナスドライバーなどを使用して小石を除去しましょう。
小石が挟まったまま放置すると、サイプが変形してゴムが傷んでしまったり、飛び石やパンクの原因になったりします。
・タイヤの空気を抜いてカバーをかけ、横積みもしくはタイヤラックで保管する
タイヤの空気を入れっぱなしにしておくと、空気圧がかかり続け、ゴムが疲れてしまいます。
長期間使用しない時は、必ず空気を抜いて圧を下げておきましょう。
また、タイヤを保管する時は、必ずカバーをかけます。
カバーをかけることで紫外線や温度、湿度、ホコリなどからタイヤを保護できます。
タイヤのゴムは紫外線や雨で劣化が進むため、屋内保管しておきましょう。
変形を避けるため横積みにするか、もしくはホイールを外して専用のタイヤラックで保管しましょう。
・保管場所や保管方法が不安な場合はお店に相談
取り外したスタッドレスタイヤやサマータイヤを自宅に保管する場所がない場合や、
保管方法に不安がある場合は、タイヤ交換を依頼するお店に相談してみましょう。
タイヤの保管サービスを行っているお店が多く、タイヤにとって適切な環境で、
次のシーズンまで預かってもらえるところもあります。
また、シーズンの変わり目にタイヤ交換をする際にも、自分でタイヤを積み込んでお店まで運ぶ必要もなくなります。
以上、スタッドレスタイヤの選び方や保管方法について解説しました!
お車に関する困りごとがある際は、ぜひお気軽に 「 店舗へお問合せ 」してみてください。
自分でクルマ探したい、という方はぜひ「 在庫検索ページ 」よりお探しになるか、
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それでは、また次回!